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「ちょっと留学に行ってきます」

学生だけでなく、ダブルワークなどの働き方も広まった今、パートやアルバイト(以下:まとめて「アルバイト」といいます。)の形で従業員を雇われている会社は多いのではないのでしょうか。

そんな中、アルバイトの方が独自の夢や目標を持っていて、

「海外で勉強したく留学をさせていただきたいです。」という方や

実家などのご都合で

「色々と落ち着かせるため、一度地元に帰らせていただきたいです。」

などの理由で長期間(3ヶ月や6ヶ月、ときには1年以上)会社から離れる方もいらっしゃるかと思います。

(以下、本稿では「留学」のケースとしてお話させていただきます。)

さて、こんなときに問題となる(といっても、殆どの会社様であまり問題としない)のが、

この留学などで会社から離れている期間は

  • 会社に在籍している状態で、休業している状態 

なのか、それとも

  • 会社を退職し、在籍していない状態 

なのか、ということです。

アルバイトの方は基本的に社会保険に入っていない方が多いため、在籍だけしている状態でも会社に継続的なコストは掛かりません。

 そういう観点から、とりあえず籍だけはおかしておいてあげよう、という会社様も多いのではないでしょうか。

さて、この2つの取り扱いが一体どこで違いが出てくるのか……

それはそのアルバイトの方が留学などから帰ってきて、会社で再び働きだして、しばらくしたとき、

ひょんなことからこんな要望が来たりするときがあります。

「有給休暇を取得(消化)したいのですが……」

そんなときに、この方には一体何日の有給休暇を取得する権利があるのでしょう

有給休暇の付与日数は御存知の通り

 ・勤続年数

 ・所定労働日数(どれくらいのペースで働いているか)

この2つの要素で決まります。

仮に留学中の扱いで「①会社に在籍している状態で、休業している状態」としていた場合、

その期間も在籍していたわけなので、労働基準法上

 ・留学をしていた期間

 ・留学をする前に働いていた期間

これらの期間もカウントされることになります。

「え、その期間は、留学行ってたんだから、勤続年数には含めないでしょ」

と、考えるのが普通なのですが、在籍していたという扱いであれば、たとえ働いていなかったとしても留学の期間(&その前の期間)も勤続年数に通算する、というのが労働基準法での有給休暇における勤続年数の考え方なのです。

(休職などの期間ももちろんこれに該当します)

そのためタイトルにもありますが「ちょっと留学行ってきます」など、アルバイトの方が、ある程度の期間、会社から離れることが生じた場合は

・在籍扱いにするのか

・退職扱いにするのか

この扱いについては、会社としてのスタンスを明確にしておいたほうが良いといえるでしょう。

そして、その期間は勤続年数として扱わないのであれば、留学などをする前に、

一度しっかりと「退職届」を書いて受領をしておくのが良いでしょう。

もし、退職したという扱いであれば、そこで勤続年数はリセットされ、戻ってきた段階で勤続年数も一からスタートという形になります。

「えっ!?そこはさすがに通算しなきゃいけないんじゃないの!?」

と思われるのも当然ですが、

一旦、労働契約が切れた場合に、同一人の方がまた入社したときに勤続年数を通算しなければいけない、という法律の定めは基本的にはそこを通算する義務はありません

もちろん、「義務はない」だけですので、

会社独自の定めとして、留学する前の期間だけでも通算してあげる、ということももちろん可能です。

この問題で一番憂慮すべきことは、何も思慮することなく、なんとなく留学などで離れている期間も「会社に籍をおいている」という扱いにし、

いざ、有給などの問題が発生したときに、想定外のことにあわてて、その従業員の方との信頼関係にヒビが入ったり、経営者の方にあらぬ不安が生まれてしまうことにあります。

以上のことについて、逆の言い方をすると、籍だけでも会社に残しておくことは働く側のメリットにもなるということです。

そう考えると、アルバイトの方でも、「この人はこの会社で長く働いてほしい」という方がいらっしゃれば上記のことも説明した上で、あえて会社に籍を置いておく、という選択をすることも十分有り得る話です。

昨今、休職などもしかり、会社から(=就労から)しばらく離れるということが増えていることに加え、優秀な人材をいかに確保するかというのはもはやお馴染みの課題となりました。

こうした事態に備えて、会社のルールをみなおしていくのもありかもしれません。

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