お知らせ
一人目の雇用あるある~その2 社会保険料と残業~
いつも弊所のHPを御覧いただきありがとうございます。
今回は前回の続き。
事業が回りだし、初めて人を雇ったんだけど、「失敗した」という例もあり、
その内容はおよそ下記の4パターンに分かれるというお話でした。
①期待を込めて、高待遇で雇った(でも見合う働きが得られなかった)
②社会保険料のことを考えずに予算オーバーする
③万一、残業したときのことを考えてない
④「手取り」を約束する
前回で①をお伝えしてため、②から始めたいと思います。
② 社会保険料のことを考えずに予算オーバーする
「人件費に割けるのは月25万円だから、交通費も加味して月給は24万円かな」
というざっくり人件費を決める方が多いのは私もちょっとびっくりしました。
しかし、(もはや常識中の常識ですが)社会保険料には「会社負担分」もあり、仮に月25万円の方が社会保険や雇用保険に入った場合、
健康保険料 12,753円
厚生年金保険料 23,790円
子ども手当拠出金 936円
労働保険料 2,875円
計 40,454円
毎月これだけのコストが更に乗っかってきます。
一部の業種は除き、「一人目を雇用するステージ」の段階で、この金額の固定費を見誤るのは結構痛いものであるのは想像できるかと思います。
もし最低限守りたい予算のラインがあるのであれば、
社員の方のお給料額面は、その予算ラインの85%弱程度にしておくのが良いでしょう
法人の場合、社会保険への加入は義務化されています。そして社員として働いてもらう以上、そこもしっかりと加入させて上げたい、という経営者の方も多いでしょう。
そのため「社会保険の会社負担分」はしっかり頭に入れておくのがよいでしょう。
③ 万一、残業したときのことを考えてない
業務というのは流動的なものなので、閑散日もあれば忙しい日もあります。
しかし、これに関しては一人目に限らず、10名前後の小規模の会社様に多い傾向ですが、勤怠の残業計算を厳密に行っていない会社様は結構多くいらっしゃいます。
昨日は閑散で30分早く帰ったから、今日忙しくして延びた30分と相殺ね、みたいな運用をされている会社もあるでしょうし(←労基法上ホントはだめです)、
多少の残業があっても「うちは月給で基本固定」として残業計算などをせずにそのままの月給のみを支払っている会社も、やはり未だに見受けられます。
しかし、もし、忙しい日があり、その日に「1時間」の残業が発生したが、その月の給与も「固定」で払っていたとしたら……
こうしたことがあると、真っ先に思いつくのが「未払い残業リスク」ですが、正直これは説得力がありません。なぜなら「1時間」未払いにしたところでお金にすると2,000円程度のため、これを「リスク」と考えるにはあまり適切ではありませんし、当の従業員様もこんな金額のためにいちいち訴えたり労基署に駆け込んだりする方は少ないのではないでしょうか。
しかし、考えていただきたいのが、「未払い残業代のリスク」を考えるよりも「たかが1時間」の残業をうやむやにしたことによって損なわれる社員のモチベーションの方が(社長が思っている以上に)はるかに重要だということです。
「見過ごされた残業」というものは経営者の方が思っている(少なく見積もっても)3倍は従業員の方は気にかけています。
そういった意味では、延びたときには「30分」だろうが「1時間」だろうが会社側でしっかり記録し(または従業員から申告してもらい)、都度しっかり払う。
月に1時間の残業だとして、その残業代はせいぜい2,000円にもいかないかもしれません。
逆に月々2,000円で会社として信頼を高められ、唯一の従業員のモチベーションを維持できるのであれば、よっぽど安いものではないでしょうか。
愚直な労務管理というのは、創業期の会社でもできる、最も有効な社員定着の方法と言えるでしょう。
また、長くなってしまったので、④は次回に譲らせていただきます。m(_ _)m
最後まで読んでいただきありがとうございました!