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一人目の雇用あるある~その3 手取りの落とし穴~

いつも弊所のHPを御覧いただきありがとうございます。

今回は事業が回りだし、初めて人を雇ったんだけど、「失敗した」という例

  ①期待を込めて、高待遇で雇った(でも見合う働きが得られなかった)
  ②社会保険料のことを考えずに予算オーバーする
  ③万一、残業したときのことを考えてない
  ④「手取り」を約束する

最後の④「手取り」を約束するについて述べたいと思います。

 ちなみに申し上げますと、弊所のお客様でも「手取りを約束する」やり方で社員の方を雇用されている会社様は実際にいらっしゃいます。
 しかし、そのお客様は、これから申し上げる下記のこともすべて飲み込み利益率なども予算を計算されているため、この「手取りを約束する」やり方が絶対的に間違いではないということ。

 肝心なのは

手取りを約束することで、あることを想定してなかったために、社員との信頼関係に揺れが生じてしまうことです。」

まず、②社会保険料のことを考えずに予算オーバーする。のところでもやりましたが、社会保険料の負担がとにかく大きいです。
また、社会保険料には「社員負担分」と「会社負担分」の②つがあるがあるため、手取りを約束すると、この「社員負担分」までも予算としなければなりません。ある程度予算が大きくなることを覚悟される方はいらっしゃいますが、大体のケースで予想の上を超えていきます。

たとえば手取り20万円を約束したとします。

  しかも 通勤手当として10,000円支払い かつ
      通勤手当は抜きで手取り20万円。 

  を約束したものとします。 

そうなると、額面も含め下記のような計算になります。

基本給     243,000円

通勤手当    10,000円
合計      253,000円
健康保険                12,753円
介護保険料               0円
厚生年金                23,790円
雇用保険                 1,265円
所得税         4,930円
手取り     210,262円
(内、1万円は通勤手当)

更にいうと社会保険料の会社負担分もあることを計算に入れると
会社全体の予算は
   292,630円 となります。

ここまでなら、なんとか耐えられる!
と言って、このまま運用をスタートされる方がいらっしゃいますが、この先にさらなる落とし穴が待っています。

住民税です

住民税は入社と同時に切り替えれば、当初から控除が開始されますが、大抵の会社(とりわけ一人目の雇用を開始したばかりの会社様)では、住民税はその年度分はご自身で支払うか前職で一括徴収をされており、翌年度の6月から開始されるところが多いでしょう。

さて、その翌年度の6月から住民税の天引きが開始されたとき、社員の方から下記の申し出が来るわけです。

社員「手取り20万円の約束だったので、住民税分も補填してくれませんか?」
上記の通り約束をしていたのだから無理もありません。

しかし、社長からしたら、

社長「いや、これはそもそもあなた個人が納めるものなので、この分も会社が補填するのは
   おかしいのでは…」

正直、これはこれでごもっともです。

社長としては

  A)住民税も会社負担分として飲み込む
  B)住民税は従業員に負担してもらう

この2択を迫られます。

まず、B)を選択した場合、社員さんとしてはやはり期待を裏切られた事になり、ある程度の信頼関係へのダメージを覚悟しなければいけません。

ではA)を選択すればいいのかということですが、それも実はあるリスクを抱えることになります。

◎A)住民税を会社負担として飲み込むリスク

住民税を会社負担とすることを選択した場合、つまりは額面全体を引き上げることになります。そうすると課税対象となるその方の所得も増えます。そうすると、来年やってくる住民税徴収の金額はまた上がるということになります。
 これを続けていくとどうなるか……。

 もうおわかりかと思います。

毎年、住民税は上がり続け、それを会社が飲み込むと毎年予算がじわじわと膨れ上がっていくことになります。
 そして額面も上がった場合、ときには社会保険料も上がることになります。
昇給などを考えずに手取りをキープし続けるという前提で、です。)

もちろん、社員の方が成長してくれて、それに見合う利益を会社が得ているのであれば、全く問題はございませんが、やはりある程度の負担感は避けられないでしょう。

以上のことから「手取りを約束する」はオススメできないという理由がご理解いただけたのではないでしょうか。
面接などで「『手取り』でこれくらいほしい」という方はいらっしゃいますし、「手取り」は社員の方にとってもわかりやすい金額です。 
そのため、もし「手取り」で約束したい場合は

 ・住民税の負担をどうするか決めておく、
 ・会社側で負担できる住民税(所得税や社会保険料)の水準も決めておく

は最低限やっておくことをおすすめします。

さて、3編にわたって、「一人目の雇用で失敗しがちなこと」をまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか。
 少なくとも今回述べた4つの事柄だけでも気をつけることができれば、初めて雇用することになったとしても。社員の方と信頼関係を築き、事業を成長させることは十分に可能ではないかと思います。

 細かに詰めたいことがある、などございましたらお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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