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ちゃんと知っておきたい「相対的必要記載事項」とは?

就業規則を書くときに必ずと言っていいほど出てくる言葉があります。
それが「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」です。
それぞれはどのように違うのか理解している方は少ないかもしれません。
今回は、この違いについて解説します。
絶対的必要記載事項とは?
絶対的必要記載事項とは、就業規則を作成するうえで必ず記載しなければならない項目です。
これが書かれていないと、そもそも「就業規則」として成立しません。
具体的には、以下の3つのカテゴリがあります。
・労働時間に関すること(始業・終業・休憩・休日など)
・賃金に関すること(計算方法・支払時期・控除など)
・退職・解雇に関すること(手続き・理由など)
これらは会社の根幹ルールなので、どんな会社でも共通して書かなければならない部分です。
相対的必要記載事項とは?
「相対的必要記載事項」は会社が定めているなら書かなければならない項目です。
言い換えると「ルールとして存在するなら書く。ないなら書かなくてもいい」とも言えます。
たとえば、以下のような項目が該当します。
・退職金制度
・賞与や手当などの臨時賃金
・安全衛生に関する取り決め
・表彰や懲戒の制度
・食堂や休憩施設の利用条件
つまり、これらの制度が会社にないなら書かなくて問題はありません。
でも、制度として存在しているのに就業規則に記載していないと、それはなかったことにされかねないのです。
「書かなくてもいい」は、「書かないほうがいい」ではない

注意したいのが、「相対的=記載しなくても良いんでしょ?」という誤解です。
なぜなら、記載していないルールは、ルールとして認められないからです。
たとえば「敷地内での喫煙禁止」というルールがあるとして、それが「相対的必要記載事項」に記載されていないとします。
この場合、仮に敷地内で喫煙をしても問題ないとして扱われてしまうのです。
「マナーとしてわかるでしょ!」ということも通じません。
もしこの件で揉めた場合には、「相対的必要記載事項」に記載がなかったということで、ほぼほぼ会社側が負けます。
ですから、会社を守るためにも「相対的必要記載事項」を記載しなければならないのです。
ルールがあるのに書かれていない状態が一番危険
独自のルールがあるならば、絶対に記載しておくべきです。
記載しておかなければ、トラブルが起きたときに会社側が不利になります。
たとえば、以下のような内容も記載しておきましょう。
・退職金の算定基準が口頭や慣例だけで運用されている
・賞与は「会社の裁量」で決めているが、基準や支給日が不明確
・懲戒処分のルールが存在しないため、問題社員への対応に手間取る
制度があるなら、就業規則にきちんと記載する。
運用しているルールは、就業規則で明文化する。
それだけで、いざというときの「守り」がまったく変わってきます。
ルールがあるなら書く
「相対的必要記載事項」とは、制度があるなら必ず就業規則に書かなければならない内容のこと。
逆に言えば「就業規則に書いていなければ、制度がなかったことになる」リスクを抱えているとも言えます。
「絶対的必要記載事項」は就業規則としての最低限。
でも、「相対的必要記載事項」こそが、会社の実態や意図を反映する安全装置になるのです。