お知らせ
有給と思って休んだら実は残日数がなかった!欠勤になる?有給になる?
有給休暇を積極的に利用する人は増えました。
会社によっては付与された日数をほとんど消化する人も今では珍しくありません。
しかし、このことによるトラブルも起きるようになりました…。
それが、有給を取って休んだつもりが、実は残日数「0」だったということが後からわかったケースです。
今回はこのようなケースについて、個人的な見解を述べていきます。
実際にあった相談「欠勤扱いはおかしい!」
有給をとって休んだつもりが、実は後から有給残日数がゼロだった場合、シンプルに考えれば有給休暇にならないので、欠勤になります。
しかし、実際に下記の相談を受けたことがあるのです。
「有給が0だって知らずに会社も勘違いして休ませたんだから、欠勤控除されるのはおかしい!!有給休暇として認めるべきじゃないか!」
……と、従業員から言われたのだそうです。
果たしてこの場合、従業員が言うように有給休暇として認めてあげるべきなのでしょうか。
有給休暇の問題を法律から考えてみましょう
上記の問題について、あえて法律にのっとって考えてみます。
そもそも「従業員の有給残日数を会社が管理する義務があるのか」という点についてですが、会社が有給休暇に関して負っている義務は
①勤続年数に応じた日数を付与しなければならない
②労働者が指定した日に与えなければならない
③年5日は確実に取得させなければならない
の3つです。
こちらは、過去の記事で投稿しました。
>有給休暇の申請に応じる基準とは?知っておきたい3つのルール
ただ、労働基準法の施行規則にもう一つあります。
その中で、第24条の7では会社は有給休暇の管理簿を作る義務を負っていますが、条文には下記のように記載されています。
「使用者は、法第 39 条第 5 項から第 7 項までの規定により有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第 1 基準日及び第 2 基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(第 55 条 の 2 において「年次有給休暇管理簿」という。)を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及び当該 期間の満了後 3 年間保存しなければならない。」
引用:厚生労働省
上記の条文を見ると「残日数まで管理しろ」とは書いていないのです。
当然ながら、勤続年数と付与日数が決まっていて、いつ何日とったのかを記録するのが義務だと考えれば、残日数がどれくらい残っているのかの管理もできるともいえます。
しかしながら、そこまで把握することが義務とは記載されていません。
つまり、残日数を把握しておくことが会社側の義務とは言えないのです。
誤った有給休暇は欠勤扱いで問題ない
上記を踏まえると「有給残日数の把握は義務ではない⇒有給のつもりが後から有給残日数がゼロだった場合は会社のせいではない⇒有給扱いする必要はない」といえます。
ただ、そこまで把握するのが義務とまでは書いていないんです。
とは言え、従業員の気持ちもわからないものではありませんから、有給休暇の管理表は作っておくにこしたことはありません。