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育児休業日の早期復帰にどう対応する?法律的視点から解説

近年、働く方にとって育児休業は重要な制度となっています。

育児休業を利用している社員が予定より早く職場復帰を希望するケースが増えており、実際弊社にも「企業側としてどう対応すべきか」との相談を受けています。

本稿では、育児休業の復帰について法律的な視点から、企業がどのように対応すべきか紹介します。

そもそも育児休業とは?

育児休業制度は、養育中の1歳未満の子どもがいる労働者が一時的に職場を離れ、後に復帰できるようにする制度です。労働者は、法律の条件を満たすと、性別に関係なく育児休業を取得できます。

さらに、休業期間中は「育児休業給付金」が支給され、社会保険料が免除されるなど、制度利用を支援する措置が整っています。

育児休業日の変更は何回までできる?

育児休業日の変更は、育児・介護休業法の第7条に定められておりますが、

復帰する日=育児休業終了日については第3項で以下のように定められています。

3 育児休業申出をした労働者は、厚生労働省令で定める日までにその事業主に申し出ることにより、当該育児休業申出に係る育児休業終了予定日を1回に限り当該育児休業終了予定日とされた日後の日に変更することができる。

引用文献:平成三年法律第七十六号 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

つまり、育児休業終了予定日とされた日の後に1回だけ変更することができると書かれています。

育児休業は、もともと休むための権利です。「この日までに休みます」と一度決めたけど

「もうちょっと休みたいです」と申し出る権利を保障しています。

育児休業の早期復帰希望|会社は応じるべきか?

それでは、冒頭のように従業員が育児休業終了日を早めたいと申し出があった場合、企業はどのように対応したらいいのでしょうか。

結論からいうと、応じなくても構いません。なぜかというと、そのような義務がないからです。また、法律的にも従業員の早期復帰に関する規定はありません。

従業員から申し出があった時に、会社側がOKだったら応じてあげるといいと思います。

その方の復帰時期に合わせたスケジュールで予算などを組み、代わりの方を雇われている場合は、申し出た方が早く復職することは難しい場合もあるため、「当初の予定通り復帰してください」と伝えることもできます。

予定より「早く復帰する」というのは、法律によって権利として保障されているものではなく、事業主に応ずる義務として規定しているものでもないのです。

会社側から早期復帰をさせるのはだめ

逆にいえば、会社側から育児休業をとっている従業員に対して「ごめん、早期復帰できる?」と事前に決めた育児休業終了予定日よりも早期復帰をさせることはできません。

もちろん、従業員本人が「大丈夫です」と言われたらよいと思います。ただ、育休を取っている従業員が応じる義務もないことは念頭に入れておきましょう。人数が少ない小規模の会社様などは、予想外に仕事の繁忙が来た場合は、会社の実情を伝えた上で「現状、どのあたりから復帰できそうか」という相談ベースからお話するのが良いでしょう。

産休に入る日と育児休業終了日は同時に決める

私がこれまで申し上げた内容は、「育児休業終了日」を事前に決めていた場合の話です。

現実問題、弊社も含めてですが、会社と従業員本人との間で、育児休業終了日を取り決めた上で休みに入っている企業は意外と少ないです。

中小零細企業などでは、下記のようなケースがあるのではないでしょうか。

 社員「実は妊娠しました!」

 社長「おお、おめでとう!!予定日はいつごろ?」

 社員「◯月◯日です。」

 社長「ということは、(6週間前に当たる)◯月◯日から産休かな」

 社員「はい、その予定で進められればと思います。」

 社長「了解」

(その後、「復帰の予定日(育児休業終了日)」を決めずいそいそと引き継ぎを行い産休へ……)

ポイントは、幸せなのは素晴らしいのですが、産休に入る日も決めると同時に復帰日(育休の終了予定日)もきちんと決めようという点です。

本人の希望を聞いて、書面で形として残すとさらにいいと思います。

企業のリスクマネージメントとして考えていただきたいのですが、休業に入る前に

もし「育児休業終了日」を決めずに、上記のように会社が想定していたよりも「早期の復帰」の申し出が出てきた場合はどうでしょうか。

会社としても、「え、そんなに早く復帰されても困る」といったことにもなりかねませんし、従業員本人からしても「なぜこの日に復帰したいと言ったのに認めてもらえないんだ」ということにもなりかねません。

こういった場合、どちらの主張が認められるべきかは判断のしようがありません。

「育児休業終了日」を双方で決めていないために、判断のしようがないのです。

(強いて言うなればその時社員の人が言ってきた「復帰したい日」が終了予定日とされて、社員の方の復帰する権利が認められる可能性が高いです)

そういう場合は、せっかく復帰できるというのに双方の信頼関係にヒビが入ることにもなってしまいます。そのようなトラブルにならないためにも、産休と育休の終了予定日は、最低限決めておきましょう。

まとめ

育児休業制度は、従業員にとって重要な権利であり、企業は適切な対応が求められます。

育児休業終了日を早めたいという従業員の要望に対しては、企業側に応じる義務はありませんが、柔軟な対応を心掛けることが望ましいです。

重要なのは、産休と育児休業終了日を事前にしっかりと取り決めておくことです。

これにより、企業と従業員双方のリスクマネージメントが可能になり、円滑な職場復帰が期待できます。人事担当者の皆さんには、これらの内容を押さえた対応が求められるでしょう。

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