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有給休暇の力は凄いけど…そこまでする?の判例

有給休暇は、従業員にとって強い権利性をもちます。
基本的には、従業員が有給休暇を申請した場合、正当な理由がなければ会社側は拒否できません。
そこで、そんな有給休暇について面白い判例があるので、そちらを紹介します。
白石営林署事件(最高裁昭和48年3月2日第二小法廷判決)
過去に裁判のあった事例で、白石営林署事件というものがあります。
白石営林署に勤務する職員は、昭和 33 年 12 月 9 日に、翌 10 日と 11 日について年次有給休暇の請求をし、この両日出勤をしませんでした。
しかし、この署長は職員の請求を不承認とし、欠勤として取り扱い、欠勤分を賃金から控除しました。
この職員は署長の不承認の意思表示が無効であるとして、控除分ならびに遅延損害金の支払いを求めたのです。
そして、この事件は最高裁までいき、下記のような判決に至りました。
『労働者がその有する休暇日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して右の時季指定をしたときは、…(中略)…指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。』
この裁判は、法律家や実務担当者の間では知らない人がいないほどの有名なものとなり、労働者にとって有給休暇が『強い権利』として知られる由縁となっています。
従業員も会社もすごくないですか?という話

裁判の内容として、有給休暇の権利がとても強いことはわかりました。
しかし……よくよく考えてみると、個人的にはつっこみどころもいくつかあります。
裁判の内容を見返してみると
「昭和 33 年 12 月 9 日に、翌 10 日と 11 日について年次有給休暇の請求をし、この両日出勤をしませんでした。そして、この署長はこの職員の請求を不承認とし」
とあります。
つまり、たった2日をめぐって最高裁までいっているのです。
私としては…
「会社側も2日位認めてあげたらいいじゃないか」
「最高裁まで争う位だったら2日分の給料出してあげた方が安いよ!」
と思ってしまうわけです。
さらに、従業員に対しても
「明日と明後日(2日連続)有給取ります!!!というメンタルが凄いなぁ…(しかも昭和の時代に…)」
と思いました。
翌日の一日だけならまだしも、急に「明日明後日休みます!有給で!」というのは稀な気がします。
こんな稀有な人と、こんな頑なに有給を認めないと揺るがない立場を取った会社があったからこそ、いまの有給吸休暇の「強い権利性」は守られているんですね。