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遅刻への対処は明文化すべき!
採用面接では好印象だった新入社員が、初出勤の日に遅刻してくる。このとき、あなたの会社ではどう対応するでしょうか?
「初日から遅刻なんて印象が悪いな」と感じるだけで済ませるのか、「うちの会社ではあり得ない」と判断するのか、それとも「たまたまでしょう」と寛容に受け止めるのか。
こうした遅刻に対する感覚は、企業ごとに大きく異なります。だからこそ、あらかじめ自社の考え方を整理し、採用時や社内ルールとして明示しておくことが大切なのです。
「時間厳守」は過去のもの?
近年、フレックスタイム制やリモートワークの浸透により、「定時」に対するこだわりが薄れてきているのは確かです。
とくに事務職やクリエイティブ業務の一部では、「何時に働くか」よりも「どんな成果を出すか」に価値の重きが移っています。
しかし、だからといって「時間を守ること」そのものが重要でなくなったわけではありません。
たとえば、ある有名な鉄道会社では、社員が一度でも遅刻をすると、その時点で出世コースから外れると言われています。
もちろん非公式な話ではありますが、時間通りに運行することが社会的使命である鉄道業界において、遅刻がどれだけ重大な問題とされているかがわかります。
それに似たような価値観は、他の業界にも存在します。
パーソナルトレーナーやコーチング、訪問サービスなど、予約制で1対1の対応を行う仕事において、時間に遅れることはそのまま顧客の不信感へ繋がります。
「遅刻」へのスタンスは企業文化の表れ

では、遅刻が起きたとき、企業としてどのような姿勢をとるべきでしょうか。
もちろん、遅刻そのものを即「懲戒処分」や「解雇対象」にするのは現実的ではありません。
しかし、「一報さえくれればOK」とする企業もあれば、「理由は問わず、評価には影響させる」という企業もあり、さらに「時間を守れない人は管理職登用の対象外」とする会社もあるのが実情です。
このように、社会通念上は良くないこととされる遅刻であっても、その重みや対応方針は、会社によって大きく異なるのです。
だからこそ重要になるのが、「この会社では時間をどれだけ重視しているか」を明文化しておくことです。
大切なのは、「就業規則への記載」と「採用時の説明」
遅刻に限らず、会社として重視する行動規範については、就業規則に明確に記載しておくべきです。
たとえば、「始業時刻に間に合わない場合は遅刻とし、遅刻が繰り返される場合は人事評価に反映する」といった内容をルール化しておけば、従業員に対する指導やフィードバックの基準にもなります。
また、採用時の面接や入社時オリエンテーションの段階で、「当社では定時出社を重視しています」「一分でも遅れたら報告を必須としています」と伝えておくことで、価値観のミスマッチを未然に防ぐことができます。
つまり、「遅刻は悪」かどうかを問うのではなく、自社がどう考え、どう運用しているかを明確にすることこそが、最も大切なポイントなのです。
ルールとして明文化しましょう
「遅刻はよくないこと」は、確かに当たり前かもしれません。
しかし、その当たり前がどのレベルで求められているかは、組織ごとに違います。
だからこそ、企業として大切にしている行動や価値観は、明確に定義し、言語化し、周知することが不可欠です。
あなたの会社が「時間を守る人と働きたい」と考えるなら、就業規則に記載するだけでなく、採用・育成のあらゆる場面でそれを伝えていきましょう。