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有給休暇を買いとれば円満に問題が解決できるのではないか?

従業員の余った有給を「買い取る」という考え方があります。

一見すると、かなり丸く収まりそうな方法に見えます。

ただ、この有給休暇の買取、扱いを間違えると、会社にとって思わぬ落とし穴になります。

有給の買取は原則禁止

前提として、有給休暇の買取は原則として認められていません。

有給休暇は、労働者が休むための制度です。

お金に換えるための制度ではありません。

ただし、例外的に認められるケースはあります。

たとえば、時効で消滅する分や、退職によって使いきれなくなる有給について、会社が恩恵的に買い取るような場合です。

つまり、最初から「使わなかったら買い取ります」という制度にするのではなく、あくまで消化しきれなかった分への救済措置として考えるのが基本です。

買取を制度化すると「有給を使わなくなる」リスクがある

問題になるのが、従業員側の心理です。

わかりやすく日給で考えてみます。

入社時の日給が12,000円。2年後に昇給して、日給が13,500円になったとします。

もし有給の買取単価が、その時点の給与で計算される制度だったらどうでしょうか。

今休めば12,000円分。2年後に買い取ってもらえば13,500円分。

この差を見たら、「今使うより、あとで買い取ってもらったほうが得」と考える人が出てきても不思議ではありません。

有給休暇の目的からズレる

有給休暇は、本来、労働者の心身の疲労を回復させるための制度です。

しっかり休んで、リフレッシュして、また仕事に戻る。生活とのバランスを取りながら、無理なく働き続ける。ここに制度の意味があります。

ところが、買取を前提にしてしまうと、従業員が「休む」より「残す」を選びやすくなります。

疲れているのに、お金のために休まない。本当は休んだほうがいいのに、将来の買取を期待して働き続ける。これは会社にとっても、従業員にとっても、健全ではありません。

買取はあくまで最終手段

経営者として考えるべきなのは、まず有給を買い取ることではなく、休みやすい環境をつくることです。

特に、年5日の有給取得義務は必ず守る必要があります。

ここを満たしていない状態で買取の話を進めるのは、かなり危険です。

そのうえで、どうしても退職時に消化しきれなかった分がある。現場の都合や本人の事情で、結果的に余ってしまった。そういう場合に限って、救済的に買い取るという位置づけが現実的です。

買取単価も考えておく

買取を行う場合、単価の決め方も慎重に考える必要があります。

その時点の給与で買い取る形にすると、先ほどのように「昇給後に買い取ってもらったほうが得」という発想が生まれやすくなります。

一方で、一定の固定額にする方法もあります。

ただ、固定額にすると今度は「実際の給与より低いのでは」と不満が出る可能性もあります。

このあたりは、正解がひとつではありません。

大事なのは、買取を「有給を使わないほうが得」と思わせる制度にしないことです。

実際社長だけでは難しい現実もある

有給休暇に対して整えるべきことはありますが、実際は難しいかと思います。

売上、採用、資金繰り、現場対応、取引先対応。その中で、有給買取の単価設計まで細かく考えるのは、かなり大変です。

ただ、現状のまま「有給を買い取れば良い」という考え方は危険です。

このような土台づくりや制度づくりは、私達社労士の業務ですので、ぜひご相談いただければと思います。

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